
子育て支援を始めるきっかけ
中正:大泉園は子育て支援に注力されていて、今回素晴らしい取り組みを広めようということでお話を伺いにきました。まずきっかけを教えてください。
檀原:グローバルキッズ入社前、子育て支援に力を入れている世田谷区の保育園で働きながら、子育て支援「子育て広場」に所属していました。地域皆で切れ目のない子育ての支援をしていく、そういった包括的な役割を保育園が担っていくのだと考えています。だからこそ保育園って地域に密着していかないといけないし、地域の住民の方ともうまくやっていかないといけないと思っています。そのためにも次世代の育成や保護者の支援に力を入れていきたいというのがそもそもの始まりです。
次世代育成としての職業体験
檀原:ここ2、3年は次世代育成として、職業体験をやってもらいます。短い時間ですが、すこし擦れている子が子どもと遊んで心を開いていく瞬間とか、そこを垣間見るとすごく面白くて。
一番近い中学校とは電話をしたりご挨拶したり、日頃からコミュニケーションはとっていました。でもその中学校は決まっている施設以外は交流を広げない、というやり方をしていました。
新しい手段を模索していた時に新任の家庭科の先生が、地域交流にすごく積極的な方でした。中学生が手作りおもちゃを家庭科の授業で作り、その玩具を持って保育所に遊びに行くという企画を提案いただきました。次回も同じ生徒に会えるわけではないし、すごく短い時間ではあるのですが、子どもたちは毎年喜んでいます。帰り際、名残惜しそうに「また来てね」のお約束をすると、お兄さんたちも「また来るよ」と言っている姿を見るとやって良かったかなと思います。
中正:保育士を目指している中学生も何人かいるでしょうね。
檀原:終わった後に「楽しかった、保育士になりたい」という感想文を中学生数名にいただきました。保育士は大変そうだな、でもそれ以上に子どもを可愛いと感じてくれている。中学生の子たちが得たものがあったというのを見るとやってよかったな、継続していきたいなと考えています。
中正:職員はどのように受けとめていますか?
檀原:今年3年目で、当初は私が内容を考えて、職員たちにお願いしていました。今では、職員たちも必要性というのを感じてくれていて、基本的には任せられるようになりました。
中正:役割はどうしてるんですか?
檀原:クラスごとに役割分担をしてもらっています。
根底にある想いはお母さんを元気にしたい
中正:世田谷区の子育て支援の話を聞いて背景はすごくわかったのですが、本当のところは何を狙っていますか?
檀原:お母さんが元気になれば世の中全部うまくいくと思っているので、子育て支援がやりたいんです。保育士が輝いているのもそうですけど、やっぱりお母さんが元気でないと、輝いていないと子どもへ影響が及んでしまうので。お母さんたちのために親子の癒しの時間、楽しく過ごせる時間を提供したいなと思っています。
今のトレンドは子育て支援
中正:計画は年度初めに立てていますか?
檀原:はい、私は年間10回を目指しています。子育て広場を世田谷区でやっていた時にコミュニティの大切さを実感しました。できるだけ広く多くの人たちに元気になってもらいたいなという想いでやっています。
今年度は子育て中のお母さんを集めて味噌玉作り、お花のアレンジメントやリース作りをやりたいと考えています。目標はたくさんあります。
中正:皆さんも子育て支援をやらなきゃいけない、やりたいなと思ってもどうしたらいいかわからないと思ってる方が多いと思います。取り掛かりとして何からはじめたらよいですか?
檀原:最初、会として開けば近隣の方も呼べるし、在園の保護者にも参加してもらっても構わないと思います。
中正:今のトレンドはもう子育て支援になりそうですよね。保育園で分断されていますが、親子がどう一緒に学んだり楽しんだりするか、ということが今後は求められていくと思います。
檀原:保育とは別で子育て支援を考えています。そういった面でもうちの職員は協力的です。子育て支援への想いを職員に伝えて、「なぜやるか」を理解してもらうことが大切だなと思っています。
もう一つ、育児相談も大事にしています。園医さんが保育園に協力的なので育児相談の張り紙をさせていただいていて、それを見た子育てが苦手なお母さんが通ってきてくれています。お母さんにとって育児はすべてが初体験のことなので、相談できる場を必要としています。職員たちの声掛けをきっかけに少しでも育児不安を軽減してもらえたら嬉しいです。来年度は小児科だけに限らず、近隣の歯医者さん、皮膚科にも広げていこうと思っています。
中正:それぞれの園が主体的に地域の中に溶け込んでいて、地域から必要とされている状態が理想ですね。